このブログを書くようになって様々な質問メッセージを受け取るようになりました。
個別に回答するよりもブログでお返事するほうが同じことで悩む人たちの参考に
なることもあるかもしれないと思いこちらで回答いたします。
読みはかなり難しい漢字まで読むことができるが書きとなると小1レベルです(現小5)
漢字だけ書けないディスレクシアもあるのでしょうか
という問い合わせです。私の専門は英語のディスレクシアですが
ディスレクシアについて学んだ中で英語のようなアルファベット言語と、
日本語のように表音文字である「かな」と表意文字である「漢字」が混ざり合う言語では、
読み書きの脳機能にも違いがでるということでした。
日本語の特殊性、漢字のもつ視覚的に複雑な文字構造を考えると、
欧米で唱えられている音韻的処理能力の欠陥だけでは
日本語でのディスレクシアを説明することはできません。
表れる症状としては、視覚的に漢字の細部を正しく区別できない、
漢字の読み書きに非常に時間がかかる、漢字を読むことはできても書くことができない。
これ以外にも様々な症状が報告されています。日本語のディスレクシアは、音韻的だけでなく、
視覚的そして正字法的処理能力の観点から理解する必要があります。
音韻的処理能力が低い場合は、日本語での読み書き困難を克服できても、
中学校で習い始める英語にディスレクシアの症状が顕著にでることがあります。
書字障害は、おおまかに次のような種類に分けられます。
個人によって症状はさらに異なり、そのことが対処法と予後に影響を及ぼします。
1)識字障害と書字障害が重なっている
・もともと読みづらい字を書くが、特に、字が複雑な場合にそうなりやすい。
・聞いたものを書く力は弱いが、線を書いたり、教科書などを手本にして書く場合は、比較的普通。
・指の動きの速さは普通。
2)手の動きに障害がある書字障害
・何も見ずに書くときも、書写して書くときも、読みづらい字を書く。
・聞き取って書くことはできる。
・線を書くことに問題がある。
・指の動きのスピードに異常が見られる。
3)空間的な書字障害
・何も見ずに書くときも、書写するときも、読みづらい字を書く。
・指の動きのスピードは普通だが、線を書くときに問題がある。
ディスレクシアは、適切な教育が時期を逃すことなく行われることで、うまく
やっていくことができます。ディスレクシアの可能性があるのであれば、
問題をより良く理解するため評価を行うことは重要です。
検査の結果によって、さまざまな特殊教育サービスが受けられたり、
大学のプログラムへの適正が決定されます。
また、教育上のアドバイスの作成基準や根拠になったり、
改善プログラムの評価基準の決定となります。